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土地家屋調査士にあこがれて

その日は突然にやってきた。某百貨店建装部の事業撤退の日である。その日の翌日から営業中止つまり受注中止である。営業担当者にとって「営業するな、受注するな」というのは、仕事をするなというのと同じ意味である。報告を受けた瞬間は何を言われているのか理解できず、ただ「何かが終わった」という思いが頭の中で浮かび上がったにすぎなかった。私は建装推進課なる部署にいたので次の日から仕事が180度変わるということはなかったが、仕事の内容が受注推進ではなく、撤退の推進に変わったことはまちがいなかった。


それは2004年の手帳をみると8月6日(金)の午後に社員説明会開催「撤退」と書かれているので多分その日に正式な説明会が開かれたと思う。2002年に退職届を提出して止められていた私にとっては退職転職の日がとうとう来たとしか思えなかった。ところが私のその日は2005年の9月までやってこなかった。


事業撤退が決まってからは定時に帰宅する日が続いた。それまでは休みも取れない仕事中毒のような日常を送っていたので自分の時間が増えて時間を持て余すようになった。退職届を受理はされていたが退職日を延長されていたので、「そろそろ退職日を決めてください」と会社に申し入れたが、担当役員からは「事業終息によって法的社会的に会社がお客様に対して果たすべき責任を果たせる体制を君には作ってもらわなければならない」という指示がでて、一番先に退職できると思っていたにもかかわらず、退職する条件を与えられてしまった。


建築設計工事などの仕事に限界を感じ始めていた私は、以前からあこがれていた土地家屋調査士を目指してみようかと思い、2004年の年明けに通信教育講座に申込みをして勉強を始めていたのだが、段ボール2個に教材が山のように送られてきて内容をみると受験できるまでにしなければならない勉強時間の目安が≒500時間とあり、毎日2時間勉強して土日に集中的にやっても2004年の8月22日の試験には間に合わず、あきらめかけていた。しかし、これからは時間が取れるのを幸いに本格的に勉強を始める気持ちになった。今の自分に嫌気がさし仕事に意欲を失いかけていたこともあり、新しいことを始めて自分を変えたかった。


翌年2005年の8月の試験をめざして本格的に勉強を始めようとした私は、夜間の専門学校に入学して本格的に勉強することにした。約10か月間、週2日は夕方7時から10時まで授業を受け、日曜日は毎週模擬試験を受けるという日が続いた。幸い同じ年代の受講者が3人いてすぐに友達になり、最初は何を言っているのか専門用語がわからなかったが、少しずつ理解出来るようになり毎日が充実したものになっていった。


しかし、模擬試験の点数はなかなか上がらず合格ラインは見えなかった。合格率が5%~10%という資格試験でもあり50歳を超えてから受験するには難しすぎる試験かと思った。民法と不動産登記法の講義をしてくれていた弁護士でもある校長先生の講義が面白くなっていたので一番前の席にいつも座ってなにかと質問をしたりして講義を楽しんでいるうちに、あっという間に2005年の6月頃にはほとんどのカリキュラムが終了してしまい、8月の本試験にむけての特訓が7月に始まった。


その頃、会社の担当役員から与えられていた「会社の社会的責任を果たせる仕組みづくり」もほぼ完成し、担当役員が7月末で突然退社ということになり、私にも会社の本部人事担当から突然呼び出しをうけて、「退社してください」という要請があり、会社と仕事どころではなくなっていた。
しかし、模擬試験では合格ラインにもう少しという感じだったので、受験前の特訓合宿に参加することにした。箱根の湖のほとりで5日間ほとんど外出せずに朝から夜中まで集中講義と模擬試験答案練習の繰り返しでまさにこの歳で受験生かと自分でも呆れていた。


しかし、受験の神様はほほえんではくれなかった。2005年8月21日(日)の試験では無残にも合格はならなかった。一緒に勉強してきた3人も不合格となり試験当日の夜に専門学校で集まって回答速報説明会では、4人で来年の再受験をめざしてまた1年間頑張ることを誓った。


それからの1年間は、10月1日にJTB商事への入社したことで勉強は二の次になりかけていた。でも日曜日の答案練習会には毎週かかさず学校に通うことにした。それまでやってきた教材を繰り返し読み続けることで覚えたことを忘れないようにするのが精いっぱいという状況。2006年8月の一次試験に合格し11月6日に二次試験を終えて最終合格発表があった時は大学受験合格の時よりもその喜びは大きかったように思う。仲間もその年に2人合格し翌年に残りの1人も合格し4人全員があきらめることなく合格して、2人はすぐに土地家屋調査士事務所を開設して独立開業を果たして順調に伸びているようである。


土地調査士になれたことは直接の業務には役に立っているのかと問われると不動産登記業務を行っていないので当然役には立っていない。資格マニアではないのかといわれるかもしれないが、不動産登記簿謄本が読めるようになりたいというきっかけからはじめて法律の面白さや奥深さをほんの少しだが知りえたこと、そして同じ目的に向かって一緒に勉強した仲間が生涯の友なったことは間違いない。

 

 

 

執行役員建装担当  菅原 健二

冬の省エネ対策といえば熱の有効利用です。熱といって思い浮かぶのは温泉や暖房や光です。日本書紀には木材の使用法が残っているように古くから日本は木を積極的に活用し木の文化を育んできた。その代表例は、現存する世界最古の木造建築「法隆寺」や木造建築最大級の「東大寺大仏殿」などだ。


一方で木造は地震に弱いといわれ、地震の多い日本では心配な一面もある。実際、東日本大震災でも多くの木造家屋が倒壊し津波によって流されてしまった。日本の木造住宅事情について書かれた「3匹の子ぶた」というイギリスの童話を参考にした本がある。原作は3兄弟の子ぶたがそれぞれ建てた「わらの家」「木の家」「レンガの家」のうちオオカミに吹き飛ばされずに無事だったのがレンガの家という話で、地震の少ないイギリスでは風害に備えて家造りをするため、重い建物が被害を受けにくいという教訓だが、地震と台風の多い日本ではレンガの家はつぶれたら圧死してしまい、わらの家は吹き飛ばされてしまうので、日本版3匹の子ぶたは木の家を造るのを賢い選択としている。


では、なぜ木造が地震に弱いと言われるかというと、建築基準法では、2階建て以下かつ延べ床面積500㎡以下の木造住宅は構造計算書の提出が免除されているため、構造計算までして設計している住宅が少ないからである。大地震のたびに構造規定が改定されてきているが、いずれこの特例も見直されることになろう。


さて、このように日本風土にとって木造は最適の構法であって老舗の木造旅館も数多く残っているが、法規制によって3階以上の旅館は木造では原則建てられない。2階建ても2階の床面積が300平方㍍以上となると不可である。結局のところ木造ではほとんど平屋でしか建てられない。また木造は音を通しやすいため、上下階に客室があるとクレームの元になり、必然的に木造平屋の佇まいが理想となってくるが、そのメリットはどのようなものがあるだろうか。


まずは、すべての施設が地面に接しているため自然を身近に感じることができるのが最大の利点だ。さらにエレベーターや階段が不要で営業スペースが効率的に確保できる。また、2階がないことで構造上の制約がなくなり、自由な間取りが可能で、自然と調和した環境に配慮したエコロジーな建物となる。加えて建物の軽量化は、基礎を簡素化することにつながり、鉄筋、鉄骨よりも比較的コストを抑えることができる。


まさに、自然豊かで個性的な間取りを特徴とする宿泊施設にとって、投資額を抑えた形で実現できれば、木造平屋の選択も検討の余地があるのではないだろうか。

 

 

 

(観光経済新聞2011年8月13日掲載)

企画設計室 高橋 慎一郎

見えて見えない

弊社は4月より新年度となりました。
ばたばたの年度末の業務を終えて、少しだけ余裕が出来た所です。
暇に任せてではないですが、以前から気になっていた素材をnetで検索した所・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

sasagawa.jpg

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

変な物が出てきました。検索のキーワードは、「瞬間曇りガラス」「六甲ライナー」「目隠し」「風呂」etc

だったと思います。
探そうと思ったのは、神戸の新交通システム六甲ライナーの窓が、一定の場所に来ると一瞬にして曇って、
周囲の民家のプライバシーを保つガラスでした。


昨年の夏から、ある旅館様の大浴場の改修を計画中なのですが、前面は素晴しい庭園があり入浴しながら
庭を見る事が出来ます。ただ、ある一定の場所から、無理に身体を出して隣を覗くと・・・・・・・
「ちょっと見えるかな!」って位ですが女子浴場が見えてしまいます。
通常は、湯気もあり大丈夫なのですが、その旅館様は修学旅行も多数取られているので
問題が複雑になりました。
私は経験が無いですが、男子中学生・高校生の異性に対する興味は通常では考えられない
行動を取る様ですね。


社長より、通常の営業では庭が見えて、修学旅行生が泊まるときは見えなくする方法を提案するようにとの
リクエストがありました。
最初に考えたのは、浴室の間に塀を建てる単純なプランでしたが、即座に否決されてしまいました。
次は、お風呂用のブラインドを提案しましたが、最初のプランよりも駄目とのお叱りを頂戴してしまいました。
塀を建てたら、庭が見え難くなる。ブライドは、1ヶ月で壊されてしまう。仰る通りです。


昔の中国人が、矛と盾とで悩んだ様に、私も見えて見えないで三日程悩んでいた所、電車中で遠足か
社会見学帰りの小学生が「窓が曇って」「見えなくなった!」等の会話をしていました。
素知らぬ顔で聞いていると、神戸からの帰りの様です。
やっと思い出す事が出来ました、神戸は住吉から六甲アイランドに行く六甲ライナー(モノレールの様なものです)に使われている瞬間曇りガラスを使え良いのでは!!


商品は簡単に見つかりました、日本板硝子の製品で商品名はUMUでした。調光フィルムを挟んだ合わせガラスで、電源の入り切りで透明、不透明が一瞬で切り替えが可能です。社長に提案を行い、OKを頂戴しました。現在、浴場に適合するか?防水は如何するか?等を検証中です。
今夏には施工の予定です、竣工したら結果を報告させて頂きます。
http://umu.jp


宿泊施設、特に修学旅行が泊まる旅館様の設備は、一般では考えられない様な事まで要求されます。
何十年か前の自分を思い出して、その時の私が悔しがる様な設備を今後も考えていきたいと思います。


ところで、最初の写真は何だと思います?

正解は「トイレ」です。?との事ですが、トイレは不通見えないように造るものですよね。何方か、ジュネーブに行って使用感をレポートして欲しいものです。


西日本営業部・建装担当 笹川

コストパフォーマンス

2011年春のリニューアルオープンを目指し、目下ああでもない、こうでもないと、

皆で知恵を寄せ合いプランを進めさせていただいているホテルがあります。

 

1年ほど前に初めて訪れた当施設は、1983年の建築物であり、塩害の影響もある立地柄、

経年劣化も目立ち始めていました。
オーナーとのやり取りを繰り返すうちに、あれもやりたい、ここも手を付けたいと、

どんどん話が膨らんで行くのでした。
しかし、当然ながら投資出来る予算には、限界があるのです。
打合せで出張訪問する度に、前回宿泊させていただいた部屋とは別の客室をわざわざ利用させていただき、
空調がうるさいだの、シャワーの水圧が弱いだの、照明が暗いだの、ガンガン指摘をさせていただきました。
(あの時は、言い過ぎてスミマセン。正直者なんです。)

 

ようやく工事実施詳細もまとまりつつあります。
当初、レストラン部分、宴会場部分等々についての改修意向もありましたが、
今回の計画においては、老朽化した設備の更新工事と客室の改修工事を最優先ミッションとします。

 

昨今、特に感じるリニューアルに対する傾向は、奇抜な意匠ではなく、機能性を重視したもの。
例えば、デザインに凝った壁面や天井の造作よりも、ほこりが溜まらず、掃除がしやすいおさめであったり、
微妙な手触りとか色合いよりも、破れにくい汚れにくい仕上材であったり。
よって、施設のコンセプトしかり、そのリニューアルが意図するもの、
そしてコストを正確に把握して実行することが、プランナーにとってさらに重要になって行くことでしょう。

 

湯水のように投資が可能な施設は存在しないに等しい時代、いかに投資したコストで効果を生み出せるのか。
我々は、日々、ハイパフォーマンスを創出し、クライアントにそして利用者に喜んでいただける、そんな建装曲技団を目指すのでありました。


 

建装部 鳥巣

 


 

情報収集のひとつに

入社して半年が経ちました。

建装部に配属されて1番初めに担当が決まったプロジェクトが、新築旅館の設計監理のお仕事です。
その中で今私が任せて頂いているのは、仕上げ材の選定です。
わくわくしながら取り掛かったのですが、始めてすぐに困惑しました。
学生の時の設計では、仕上げ材まで考えたことがなかったため、

どのように選べばよいかわかりませんでした。

 

その時、参考のひとつにしたのが、ソーシャルネットワーキングサービスmixiのコミュニティです。
趣味や職業などが共通の人同士が集まって情報交換などをするツールです。
そこにクロスや内装に関心がある人のコミュニティがいくつかあります。
クロス好きのコミュニティでは、500人近い方が参加しており、貼り替えたクロスの写真を公開していたり、

クロスのメーカーを紹介、またおしゃれな耐水壁紙のメーカーを知りませんかなど、

自分が求める情報に対して多くの人から返答を得ることが出来ます。

 

今回の物件は宿泊対象者の多くが学生になります。
そのため、若い世代の参加率が高いmixiは、若い世代にどのようなクロスが人気なのか、

実際貼ってみるとどのようになるのかなど参考になる例が多くありました。

 

私がmixiを始めたきっかけは、大学の設計の授業で、

非常勤の建築家の先生と授業の無い日にやりとりするためでした。
今後は、旅館やホテル、客室露天風呂のコミュニティなどを利用して、

仕事に活かせる情報を得る一つの手段として活用できたらと思います。

 

しばらくクロスやタイルと向き合っていると、家の中の仕上げ材を改めて見たり、

街を歩いている時、上を向いて歩いていたり、下をじーっと見ていたりというように壁や天井、

床の仕上げ材にばかり目がいくようになりました。
来月の始めに仕上げ材のプレゼンを行います。
自分が選んだものを気に入ってもらえたら嬉しいなと思います。

 

建装部 平井

フタを開けたら

先月工事をさせて頂いたホテルで、ロビーに使用されていたソファーの張替工事を受けました。

ソファーはアンティーク風の塗装がされたクラシカルなものでしたが今回の改修工事とのインテリアに統一感を持たすため、切れ地の張替えと木製フレームの塗装をする事になりました。

  

既存の生地を剥してみたら色々な問題が発生!!
①台座と脚部の接合部の強度不足
 フィンガージョイントの加工はして有りましたが、ズレていて接着剤のみでの固定
②ソフャー背面を支えるフレームと台座部の補強材がお粗末
 小さい木材を写真の様にする事のほうが難しいのでは?
③座面下側の補強不足

大きく以上の問題が挙がりました。今回は生地の張替と塗装直しの御依頼でしたが一部修理を行い、今後支障の無いよう使って頂けるよう手を加えさせていただきました。

 

修理内容
①台座と脚部の接合部補強は、台座裏より既存の台座カーブに併せた木材(ナラ材)にて補強。
②台座部には、新しい補強となる木材を入れなおす。
③各接合部には出来るだけ接着材を塗布
 ※写真で見られる青とオレンジのバンド(ウエービングテープ)は国産ですと既存の物より強度が有るので張り直しをしたいのですが骨組みの接合部がテープの強度に耐えられない恐れがある為今回はそのままとします。

 

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海外で作られた物だと思われますが、15年前の物でもそれなりの金額がしたことでしょう。張替や塗装直しなどで修理をし、大切な思い出のある家具を永く使って頂けるお客さまは少なくなっていますし、そのような家具をお手元にお持ちの方も減ってきている中、今回の修理をさせて頂き、今後共責任を持ってメンテナンスをしていきたいと思います。

 

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建装部 宮原

お屋敷設計監理奮闘記

15年前位に高級住宅の設計監理業務を受託したときの話です。当初は私の担当課の仕事ではなかったのですが、他の課から異動してきた担当者Aが持ち込んできた仕事でした。担当者Aが異動してきてまもなく設計完了したので挨拶に伺ったところ、お客様(奥様)は設計図を見るなり「このような洋風の家の設計を依頼していませんよ。」と強い口調で不満をぶつけてきました。担当者Aはすっかり自信をなくしてしまい、私が担当せざるを得なくなってしまいました。その後、設計を0から再スタートしたわけですが、奥様との打合せ(会話)がどうしてもうまくいきません。お客様と私の生活レベルや価値観の相違がある上、図面を読めない奥様にいくら図面の説明をしても、理解してもらうことはもはや不可能かとまで思いました。

 

とにかく確認申請用の図面だけはなんとか承認をいただいたものの、これからどうやって意匠デザインを決めていこうか悩みました。室内の三次元パースを作成して検討資料にしようかと思い、見積を依頼したところ500万円かかるとのことで断念し、やっぱり自分が悩みながら、信頼をもらいながら決めていくしかないと決心しました。

 

延床面積で150坪くらいある家で、地下一階、地上2階、コンクリート造の天然スレート屋根、外壁は真っ白なライムストーンの豪邸です。各部屋の展開図を描きながら、部屋の室内パースを描いて、お客様に見てもらいながら確認していこうと思いました。パースには、床壁天井はもちろん、建具・木造作・造作家具・照明器具・冷暖房換気機器など、現れてくるものは全て描いていくことにしました。当初は、主要な部屋だけと思っていましたが、パースを使っての打合せだと理解しやすいらしく、要望も具体的に話していただけるので、浴室や廊下、ホール、化粧室、着付け室、書斎、寝室など気がついたら全部屋を描いていました。

 

後は仕上げ材のサンプルを見てもらって決めていけるかなと思っていました。しかし、そうは簡単にいきませんでした。「外壁の石を見に行きましょう。真っ白で柄や斑の全く無い石でなければいけません。」とおっしゃるのです。これは大変なことになった。現場所長と石工事業者と打合せして、原石からみせておかないと納得してもらうのは難しいという結論になりました。柄や斑の無い石などありえないからです。納得してもらえそうな原石が輸入されたという度に、お客様と同行で関が原に3回ほど出張して使う原石を決めましたが、製材する過程で柄や斑が出てきたものですから、その度に石材加工場に出向いてその石は北側の目立たないところに張ってくださいとか、石一枚一枚まで外壁のどこに貼るのかお客様と同行で決めるところまで行ってしまいました。
これらの現物主義による決定方法は、その後、衛生機器、水洗金具、照明、ドアハンドル丁番、ファブリックス、家具など全てにわたり、お客様は私と毎日のように都内のショールームを廻っては、納得できるものがないといって「他に何かないの?」と私を悩ませつづけました。

 

最後は庭園です。これまで住んでいた家の外構と庭園設計も有名な建築家に依頼しただけのことはあり、庭園とくに樹木に対するこだわりは尋常なものではありません。私も、庭園は私どもが紹介する専門業者にお願いしてください。と逃げようとしたのですが、そうはいきませんでした。庭園業者が所有する山があり、そこに樹木を見に行くからついてきなさい、ということになりました。敷地の入口にある門から玄関に至るアプローチに植える桜は、この家の景観の重要な要素であることは間違いありません。山の中を駆けずり回って候補となる桜を何本か決め、実際に現場に入れて植えてみることになりました。現場に持ってくると、山で採寸したにもかかわらずバランスが悪く、その後何回か山へ行かざるを得ませんでした。

 

竣工引渡以降、お客様からは全く連絡がなく、不都合があるはずだと思い担当者Aと一ヶ月位経ったときに訪問しました。奥様は満面の笑みで私たちを迎えてくれました。しかも担当者Aに花束まで用意して。

 

建装部・企画設計室 菅原 健二

建築コストが上昇傾向にあると言われていながらも、まだまだ工事するならお得と言える時期なのですが、思い切った投資も慎重に構えてしまう状況でもあるように思われます。
そんな中、数少ない旅館1棟新築物件の設計に携わっています。
5月の連休明けに着工したばかりで、完成が来年1月中旬、鉄筋コンクリート造5階建て客室数27室の旅館で、これから躯体が立ち上がってくるのが楽しみな物件です。
まだまだ建物の形が見えてきませんが、今回は設計段階で試みた製品を紹介させていただきます。

 

1階に大浴場を配置しているのですが、隣地境界から近いため、建築基準法上網入りのガラス窓としなくてはならず、景色が良い場所ではないのですが、クリアな視界をイメージしていました。
また、浴室で使用する網入りガラスは温度差による熱割れや水分の進入によるサビ割れが生じ易いため心配でもありました。
そこで、昔(10年以上前)使ったことのある網の入っていない耐熱ガラスを思い出し検討に掛かりました。
以前の製品はガラスのサイズも小さく、色も若干セピアがかっていて透明感がいまいちと言った感じでしたが、技術はここ10年の間に進歩し、一般ガラス同等の透明感でサイズも最大で3,000×2,400(8、10,12mm厚)mmまで可能になっていました。
一般名称は耐熱強化ガラス(大手ガラスメーカーはどこも製品あり)、その名称どおり耐熱性プラス強度が普通ガラスの6倍、一般強化ガラスの2倍という優れものです。
但し優秀な物にはそれなりの値段が付いてまわり、定価では普通ガラスと網入りガラスとの差は2割増し程度ですが値引率が圧倒的に異なり、見積価格で2~4倍の差が出てきます。
今後の取り扱い量の増加により値下げを期待したい製品ですので、ぜひ皆さんも使ってみてください。

 

takahasi_1.jpg

網入りガラス     耐熱強化ガラス

 

参考URL

旭硝子株式会社 https://www.asahiglassplaza.net/gp-pro/myboka/index.html

(上記画像は旭硝子株式会社のカタログより)

 

 

続いてもう一つ、同じ法的基準で防火区画というものがあり、階段室の鉄扉や吹抜けのシャッターなどが区画用の製品ですが、開口が大きくなるとシャッターレール用の柱が必要となったり、脇にくぐり戸が必要になったりしてせっかくの大空間が台無しになったりします。
そこで無粋な付属品を不要にする「耐火スクリーン」(ユニチカ設備技術)という製品をみつけました。
最大幅25m、高さ15mまでの防火区画をシリカクロス製の幕であたかもロールスクリーンのように降ろして区画するという画期的な製品です。
くぐり戸部分は避難口マークの付いた所をカーテンをくぐるように開閉して通行できます。天井内収納スペースもシャッターよりもコンパクトに納まり、軽いので建物への荷重負担も軽減できます。
8年程前に認定されたものですが、設置上の注意があり、ホテル・旅館など不特定多数が利用する避難階段など避難経路上の区画には原則使用できないという欠点があります。
日がまだ浅い製品なので今後の改良に期待するとともに、大空間吹抜けの竪穴区画など避難経路以外の区画には設置できるので検討してみてください。

 

参考URL

ユニチカ設備技術株式会社 http://www.unitika.co.jp/upec/article/unifireguard.html

 

 

建装部 高橋 慎一郎

同窓会

4月17日(土)に高校の同級生がマスターをしている盛岡(高校は釜石ですが)の店で、二人の先生を囲んで20人程のミニ同窓会をしてきました。
50歳過ぎのおじさん、おばさん達がこの時ばかりは18歳に戻って(酒は飲みますけど)いつもの同じ話題で盛り上がりました。

 

その1ヶ月程前、娘達のリクエストで、ホテルサンルートプラザ新宿のレストラン「VILLAZZA」に予約を取りに行きましたが、残念ながら週末は数週間先まで予約でいっぱいということでした。
娘達に「早く予約しないからだよ。」って怒られるだろうなという悲しさと、繁盛店になっているんだという嬉しさで複雑な心境になりました。

 

07年9月オープンのこのホテルで、レストランの内装を担当する機会をいただきました。
乗り込みから消防検査まで1ヶ月もない、非常に厳しい工期の現場でした。
毎日の様に業者・工場から「24」のジャック・バウアーのごとく瞬時の決断を求められ、毎日遅くまでの作業でした。特に消防検査と都庁の検査前日と言うか当日朝までは徹夜での作業に立ち合って、引き続きそのまま検査に立ち合うという、まさに「24」状態でした。

 

このレストランには自慢のワインセラーがあります。
ステンレス鏡面の枠は、いつも困ったときに助けてもらう〇〇シャッターの庄司さんが2週間程で制作してくれて、ギリギリ消防検査前日に取り付けることができました。特注のワイン棚は大阪の金物工場から送ってもらいました。

 

オープン翌年の6月、亡妻の誕生日に娘達と食事に行きました。食事の途中、松本シェフ、相馬さん、お店のスタッフの方達がテーブルの横に並んで「HAPPY BIRTHDAY」を唄ってくれようとしていました。大変失礼ながら遠慮させていただきましたが、嬉しかったです。
お店のスタッフの優しい心遣いで、妻を含め4人で楽しい時間を過ごすことができました。ありがとうございました。

 

その当時の工事のメンバーと会うと、いつも同じ話で盛り上がります。まるで、同窓会のように。
工事に携わった全ての人、そして松本シェフやお店のスタッフの方達も含めてこのレストランの同窓生です。

 

この仕事をしているとたくさんの同窓会ができます。

 

建装部 磯崎 昌志
VILLAZZA:http://www.hotelsunrouteplazashinjuku.jp/shinjuku-restaurants.php

湯沸かし器といえば

 皆さんの施設では、熱源には何をご使用ですか?石油若しくはガスのボイラー、温泉熱が利用できる羨ましい施設様もあると思います。

 

 今回は、ガス給湯器を使用するシステムを紹介いたします。ガス給湯器(湯沸かし器)と聞くと、何かあると頭に血が昇り、湯気を出す上司を連想しますが、それとは逆にクールな利用方法を報告します。

 

 旅館様より浴室の全面改装の依頼を受け、熱源をどの様なシステムにするか悩んでいると、女将さんより「ガス給湯器を連結して使えるよ」とのご指示を頂きました。「ガス給湯器?」「容量は足りるの?」「壊れないの?」等の否定的な考えと、50号を16台連結するシステムと聞いたとき、常時使う機械と殆ど使われない機械が生じるのでは?やはり、否定的な考えしかないままガス会社よりシステムの説明を受けました。

 

 説明を聞いて目から鱗がポロリ!

 16台を連結してマイコン制御を掛けるとの事。今日、最初に作動した機械は次の日は16番目となり順番に1号機が移動し、年間平均するとどの機械もほぼ同じ作動時間になるとの事。容量も、計算式を確認すると更新前より増えていました。故障の場合も、一斉に故障することは考え難く、故障した1台の修理又は、交換で営業には殆ど影響が無いとの事です。貯湯タンクが不要になり、機械室スペースも小さくする事が出来ました。
 

 今回はガス湯沸かし器の報告でしたが、石油には石油の利点があると思いますし、新しいシステムも開発されていると思います。私共は、熱源=ボイラー等の画一的提案ではなく施設様に合った提案が出来るように、今後も情報収集・提供を行っていきます。
 

 仕事中にこのコラムを読んでいる貴方、隣の上司に見つかっていませんか?湯気を出している上司を見て「湯沸かし器」なんて思ってはいけません!湯沸かし器は、【賢い】の代名詞になるかも知れません。


建装部 笹川

すべらない話

先般、あいにくの雨模様の中、打合せで訪問したホテル様でのこと。

エントランスから、それは綺麗な御影石本磨きの床。来客者の傘から滴る雨水が床の上に...。

 

「つるりッ!」

 

目に飛び込んだのは、起こるべくして起きた事態でした。

幸い大事には至らなかった様子でしたが、来客者にとってもホテル様にとっても大変なことです。

 

 

ハートビル法という言葉を耳にしたことがあると思いますが、これは「高齢者、身体障害者等が円滑に利用できる特定建築物の建築の促進に関する法律」のことです。

私たちがお付き合いをさせていただく「ホテル、旅館」も、この対象建築物となります。

(この法律については、また別の機会にふれさせていただくこととして、、)

そのハートビル法においても、最低限のバリアフリー化の基準である「利用円滑化基準」が定められています。(東京都条例)

例えば、廊下、階段、通路、傾斜路等については、「表面は、粗面とし、又は滑りにくい材料で仕上ること。」等々。

 

やはり前出のような経験をなされた施設様も多いのか、床の防滑工事についてのお問合せを受ける機会があります。

これについては、ほこりや、水分の付着の有無によっても大きく異なるものなので、外部からそれらを持ち込まないような工夫(例えば、玄関回りでの計画等)も有効性はあるのですが、やはり完全ではないでしょう。

そこで、床自体への防滑を施すことにより、滑り抵抗係数(C.S.R.)を上げるということになります。

方法はいろいろありますが、代表的には次に挙げる施工方法でしょう。

  エッヂング工法

   専用の機械や工具を用いて、床材表面に凹凸を作る工法で、ブラスト工法、ジェットバーナー工法、カッティング工法などがそれに当たります。

  特殊溶剤工法

特殊な溶剤を用いて、床材表面に7/1000㎜程度の穴を開け、水分の逃げ道を作って防滑効果を生む工法。

効果は、使用ヶ所などによって差異は出ますが、利用者の安全性を確保する意味でも大変重要なことなのかもしれません。

もちろん、上記②で使用する溶剤等の環境への適合性、人体への無害性の必要は言うまでもありません。

 

などなど考えながら、ふたたび雨模様の中、「すべる」ことのないよう打合せに行くのでした。

まるで凍った雪道を恐る恐る歩くような格好で。

 

建装部 鳥巣

torisu.JPG

 

壁紙(クロス)の縁切り

最近洋室和風のベッドルームの改装で、壁のクロス貼りの際にアクセントウォールとして、壁の一面だけを濃い色のクロスを貼る手法を良く使います。アイキャッチをつくり客室に奥行き感を持たせたりします。

 

この手法自体は今さら特筆すべきことではありませんが、施工段階苦労していることがあります。それは、Bポイント(濃い色壁面)とベース色(その他壁クロスの色)との縁を切る部分です。入墨などで明確に縁切りできる壁は良いのですが、そういったケースは少なく、出墨(壁が直角に曲がっている部分の角部)など縁切りが意匠的に納まりが悪いケースが多々あります。違う色のクロスを突合せるのは変ですし、出墨にてクロスジョイントを入れるなんてことは、すぐに捲れることが明白です。

 

今までクロスなどを意匠的に見切るには、フクビ(樹脂製の見切り材)や付け柱、廻り縁などを使用していましたが、多くの場合、クロス張替えなどの改装での場面であるため、プラスターボードに挟み込あければいけないフクビを取り付けて縁を切ることは困難でした。改装場合下地のプラスターボードまでは手を加えないことが多いのです。

 

 7月よりシンコールより発売されたクロスの見切り材は、プラスターボードの上に直接貼り付けることが出来、出墨部分当然のことながら、壁面にも自由に貼り付け、クロスを自由に見切ることができます。

 

 これは、アクセントウォールでの縁切りに使用できるだけでなく、壁面にクロスの貼り分けを図柄として作ることも出来ますので、うまくデザインすればアートウォールとしても使えます。色も充実しており、ゴールドや漆調の黒なども揃っております。施工法も工期もとても簡単で、今後クロスを使った貼分け手法に面白いデザイン出来ていくのではないかと期待しています。

 

建装部(名古屋駐在) 棚瀬

mikiri.jpgのサムネール画像

 

新入社員の初工事体験

建装部に配属が決まり、8ヶ月目に入りました。つい先日入社したとおもいきや、もう7ヶ月も経過していました。なにもわからず、建装とは何なのか・・・そこから私の仕事は始まりました。その中で今回は神奈川県の本厚木にあるパークインホテル厚木客室改装工事の話を。
現場管理の経験ということで2週間ほど勉強させていただきました。既存の客室を解体しリニューアルするとうこで、一から完成まで見届けました。

osawa_1.JPG

既存の家具を撤去し、クロスを剥がし、カーペットも剥がし、裸の客室を見たときは驚きました。

osawa_2.JPGその後、天井のライトの位置を決め、穴をあけ配線をし、新しいクロスを張り、カーペットを敷き、最後に家具を設置し、完成した客室は・・・

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落ち着きのあるお部屋になりました。

工事はいかに工程通りに進むか。事前の打ち合わせが大事だと教わりました。後は作業員が怪我をしないように、現場を離れないことだと指導を受け、無事工事は終わりました。
目標は受注し、引渡しまで自分でやり遂げることです。これからもっと勉強し経験をし、ステップアップしたいと思います。

 

建装部 大澤 恒太郎