ネット経由での宿泊申し込みが若い人を中心に急速に増えている。ネット上で簡単に情報が検索でき、予約までできる手軽さが利用を牽引している。
宿泊目的に合った宿を探す場合、ネットエージェントのサイトから地域、料金で検索する場合が多いが、料理、サービスなどの内容や質までは分かりにくいため、詳細な施設のホームページで確かめることになる。その際、どんな特徴があり、どんな利用目的に合った施設なのか分かると選定しやすい。
これを施設サイドからみると、宿の特徴を表現するためにはお客さまのターゲットを絞り込み、自館の売り物(特徴)を明確に打ち出していくことが重要となる。そのための手法として統一テーマの演出がある。
一昨年お手伝いした山梨県内の宿の投資事例では、他に事例の多いアジアンテイストとは異にするトロピカルテイスト(南太平洋のリゾートイメージ)を基調とした「光と風と水」をテーマに、建築意匠はじめ、家具・備品、サイン、装飾品、ユニフォーム、アメニティ、BGM、料理、館名や館内施設のネーミングに至るまで徹底して統一を図った。統一化により宿の特徴が明確となり、居心地のよい宿空間が創出される。
特に、力を入れたいのは玄関アプローチである。なぜなら、お客さまが来館された際に抱く第一印象に大きく影響を与えるからだ。お客さまの来訪目的が日頃の疲れを癒すためで、非日常性や異日常性を求めている以上、一般家庭の日常の生活感が伝わると興ざめしてしまうこととなる。
一例だが、山形県の著名旅館のオーナーが、お客さまのよりよい第一印象を得るために玄関先の正面のどこに置物を置いたら良いか首を傾げて決めかねていたことが印象深い。
玄関アプローチではないが、お客さま目線についてこだわる京都の老舗旅館の女将から聞いた話がある。京都の伝統的な和文化を大切に考え、特に客室ではテレビ、冷蔵庫、電話などの機械装置を扉や布カバーなどでいかにお客さまの目線からはずすか苦心し、客室からの雪見障子越しの坪庭の見え方にも注意を払っているとのこと。お客さまの目線を大切に考えることは当然のようでも、極めるとなると難しいものである。
このようにお客さま目線にこだわれば、玄関でも館内でも演出の統一性は大変重要だ。費用負担少なく統一感を演出するならアメニティからでも始めたい。
手前みそで恐縮だが、当社の業務用品サイト「プロスペ」では、統一性を演出するアメニティ以外の商材も豊富に取り揃えており、参考になれば幸いである。
(観光経済新聞2011年9月24日掲載)
企画設計室 野口 弘之