仕事人コラム

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もう一つの考え方

以前客室の増改築でお手伝いをさせていただいた旅館のオーナーさんから、今年団体客の料理のグレードアップを図るため、宴会場にオープンキッチンを作りたいとの相談を受けた。当初はただのショウルーム的に造るものと半信半疑であったが、厨房の一部分として作りたいとの要望であり、オープンキッチンのデザインと、そこで提供する料理についてのコンサルティングを受注し、フードコーディネーター及びデザイナーと一緒に業務を実施した。


2009年度のJ社送客実績で宿泊客の形態別シェアをみると、個人客71%、一般団体客19%、学生団体客10%と、ご存知のように一般団体客及び学生団体は全体的に減少傾向にあり、依然個人客のシェアが伸長している。
このような傾向において目線が個人客に集中する中、シェアは低いものの全体の20%弱を占め、J社送客人員で400万人前後の固定客層である団体客に目を向けることには、なかなか気づかない。


料理においてもどうしても個人客に目が向き、食事場所も、個人の場合は部屋食又は食事処で提供し、個人客対応の食事処にオープンキッチンを導入するという旅館は多くなってきているが、今回のように、全体的にシェアの低下が叫ばれている一般団体の食事に目をつけ、しかも宴会場ロビーに一般団体専用のオープンキッチンを新設するという考え方はなかなか出てこない。
これは、一般団体の数が減り、大型旅館ではシビアな過当競争が行われている中、経営者が現場でお客様の動き・対応など日々の動向を見ているからこそ生まれた新しい発想といえる。
現在は、オープンキッチンで夕食・朝食を作るだけでなく、宴会場での調理人の料理の取り分け等のパフォーマンスを実施しており、可なり好評とのことである。

 

団体客料理は、個人客料理と違って差別化が難しい。団体の食事処へのオープンキッチンの導入は、それ自体で差別化が図られるとともに、お客様が宴会場に入場する前にオープンキッチンを覗くことによる期待感の醸成等が望める非常に面白い試みであり、この一般団体客獲得を狙った投資によって、実際に新たな客層を掘り起こし、またリピートを促す大きな商品力となっている。

 

経営者が、流行に流されることなく地道にお客様と接触し、観察していた結果生まれたアイデアであり、大型旅館では一考に価する商品と確信している。

 

企画設計室 秋山

 

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(オープンキッチン)

 

朝食バイキング

団体旅行が主流であった昭和時代には、旅館の朝食は前夜の宴会場であったところに宴会と同様にお膳を並べて、焼魚と煮物、サラダ(生野菜)、ご飯、漬物、味噌汁が基本でした。一度に大勢の朝食客に対応するためには当然のことでした。お客様も何の不満もなく、半ば冷えてしまったお膳に手を伸ばし、場合によっては、迎え酒よろしくビールや日本酒を追加注文したものです。

 

昭和の経済成長とともに歩んで来た国内団体旅行は、経済の成熟化とともに旅行の成熟化を迎える中で、その主勢力は個人グループにシフトすることとなりました。それでも、宴会場でのお膳型朝食は、施設側の都合を反映して継続し、お客様のニーズは明らかにクレームに直結し、このスタイルはNGとなりました。

 

平成時代に入ると、夕食提供と同様に、温かいものは温かく、冷たいものは冷たく、お客様の食べる都合で提供することにニーズが代わり、それに対応することで、お客様満足度が上がることになりました。

 

その結果、朝食ニーズに応える手法として、また一方でヒューマンコストの低減という要求と相俟って、ブフェスタイルに変更する施設が急増します。でき立てのものを好きなだけ自らチョイスできる、理想的とも言えるスタイルです。

 

しかしながら、お客様のニーズ(要求)はエスカレートし、より良いものを求めるが、反対に施設側はより簡素化を図るための手法を求めることとなります。

 

最近では、50室規模を超える施設では、ほとんどが朝食バイキングを行っています。しかしながら、宿泊アンケート評価の全体的傾向として、夕食 > 朝食という施設が多く、朝食評価の向上が待たれる状況にあります。そもそも、旅館サービスにおける朝食の位置付けは、客室、大浴場、サービス全般、食事(夕食)に次ぐ項目として付録のようなポジショニングにあります。ただ、それだけに他館との差別化、区別化の要素として取り組み易く、効果期待度も高いと言うこともできるのではないでしょうか。

 

料理メニュー、会場の演出、レイアウト、什器・食器類の整備、オペレーションなど検討課題も多々あります。問題点を明らかにし、問題意識を共有化することからはじめてみましょう。朝食バイキングを見直し、他館との差別化を!!

 

 

企画設計室 土屋

 

 

クラヤミの旅

先日同室の佐伯とクラヤミ食堂というイベントに参加してきました。

テレビなどでご覧になってご存知の方も多いと思います。

 

このイベントの一番の特徴は、会場に入る前にアイマスクをつけ、まさに「暗闇」の中で知らない人と同じテーブルに付き、コース料理をいただくというものです。

 

このクラヤミ食堂は、「こどもごころ製作所」という博報堂さんのプロジェクトで年に4回程度、毎回異なったテーマ・趣向で行われてきましたが、今回は音楽とのコラボレーションということで、歌手の広瀬香美さんがプロジェクトに関わり、【クラヤミ食堂 × 広瀬香美 ~The dinner show~】という生演奏を聞きながらのクラヤミ食事体験となりました。

 

会場は赤坂にあるANAインターコンチネンタルホテル東京さん。

 

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受付を済ませると、アイマスクを渡され、会場に入る前に着用します。隣の人の肩へ両手を乗せ、列車を作って会場へ入ると、一人一人にスタッフの方が付いて、それぞれ異なるテーブルへ導いてくれます。微妙なカーブを曲がるときに支えた手で方向付けをしてくれるのですが、感じとるのが難しく、従業員研修でも行うことがあるアイマスクでの誘導案内体験ではこういう気づきが得られるのだなと実感しました。

 

席へ着いても、会場のレイアウトも分からず、自分が会場のどの辺りにいるのか、テーブルが丸いのか四角いのかも分かりません。周りに人が座っているのかも分かりませんでしたが、次第に人が通り過ぎるときの風や体温、料理のかすかな香りなどで気配がつかめるようになります。不安な気持ちが徐々に好奇心に変わり、テーブルの上へ手を伸ばして得られる限りの情報をつかもうとします。

 

いよいよイベントが開始すると、まずは隣の席、向かいの席の方とクラヤミの中で自己紹介と握手。相手の顔が見えない分、手の暖かさや柔らかさ、声などからどんな人なのだろうと想像を膨らませます。

 

そして料理がスタートします。食前酒で手探りで乾杯をした後、前菜、スープ、メインと順々に料理が出てきます。ひとつひとつに広瀬さんの曲のテーマが関係しており、広瀬さんが一曲ずつ、料理の前にピアノを演奏しながら歌ってくださるのを聴いたあと、一斉に料理をいただきます。

 

広瀬さんの歌は、60人の客席では受け止めきれないくらいのパワーがあり圧倒されます。普通のライブではきっと広瀬さんのパワフルな演奏や歌い方に目を奪われてしまったと思いますが、耳だけで聴くと、最初の曲で少し緊張したような声の調子や、広瀬さん自身が持つポジティブな精神性がより強く伝わって来るような気がします。

 

お料理は、前菜は5つのスプーンに盛られているものを口に運ぶ易しいものから、コースが進むにつれ、徐々にナイフとフォークでお肉を切って口に運んだり、お皿の上の付け合せを探したりと、難易度が上がって行きます。食器の扱いの困難さは想定内だったものの、興味があったのは、見た目の盛付や色合いなど視覚的な要素が大きく影響する料理を、クラヤミで食べたとき、味覚がどのように変わるのだろうかということでした。

 

予想では、何を食べたかほとんど分からないのではと思っていましたが、むしろ料理への集中力が増したことで香りや食感など視覚以外の要素から得られる情報が沢山あり、想像がどんどん広がって、見た目で得られる以上の料理の味わい方になることを知りました(最後に正解写真が映写されましたが、結構当たっていました!)。

 

もう一つこのクラヤミ食事の大切な要素は、周りの人とのコミュニケーションです。連れとは意図的に席を離され、周りの人と視覚から得られる先入観なしに会話をしながら食事をすることは、不思議な場の温かさを生み出します。また人によって、暗闇で抱く料理への興味も違い、高級食材へ反応する人、食感を表現する人、料理の色を想像する人、食器の形を味わう人など、本当に様々です。それは自身の想像力を膨らませる助けになります。もしこのクラヤミの食事が1人だったら・・・修行のような食事体験になったでしょう。


加えて、お互いに見えていないという安心感があります。見えていたら・・・食事のマナーが気になったり、アイコンタクトを意識したり、スタッフの動きに目を取られたり・・・家だったらテレビも観ているでしょうか。クラヤミのシチュエーションでは、食べる、話す、聞くというそれぞれのシンプルな行為に集中することができ、それが却って豊かであることに気づかされます。

 

最後にこのクラヤミでの食事は、デザートの場面でマスクを外します。お互いに顔を見合わせたとき、不思議な親しみを感じている自分がいました。

そして帰り道、見慣れた景色がいつもと違って見え、鮮やかに視界に入ってきました。

この感じ、何かに似ていると思ったら、「旅」です。美味しいものを味わい、見知らぬ人とのコミュニケーションを楽しむ、帰ってくるとリフレッシュして日常生活をまた新鮮な気持ちで始められる・・・


会場で話をすると、リピーターの方が実に沢山います。この体験が一度味わうだけでは終わらない、不思議な魅力を持っているのも、旅だと思えば頷ける気がします。しかし、このクラヤミ体験で感じることはきっと人それぞれ、旅の宝サイトへのこじつけだと思われた方、百聞は一見にしかず、機会があれば是非体験されてみることをおすすめします。

 

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最後に配られたメニュー

 

企画設計室 山上

 

料理のインパクトとは。。

先日このコラムでもご紹介した 美食の王様 来栖けいさんが、レストランをオープンされるということで、記念すべきオープン日にecure(エキュレ)に食べに行きました。

このレストランは独立前のスーシェフが1年間シェフとして経験を積むという面白い形態で、1年たつとお料理のジャンルも変わるらしいです。毎年新しいニュースリリースが発信されるという意味でもとても参考になります。

 

オープンを任されたシェフは、あのカンテサンスのスーシェフだった後藤さん、多分30歳。とてもかわいらしいお料理を創られる方でした。

 

その中で、最後の前のお皿がいちじく、最後のお皿がタルトタタンと2皿続けて彩りきれいなデザートがとても印象に残りました。

今回出していただいたものは、知っている「いちじく」や知っている「タルトタタン」ではなかったのですが、想像しているより「これ!!!タルトタタン!」とお隣の席からも声が。

 

旅館のお料理を考えるのに、インパクトやメインはどうしようか、というお題も多いこのごろ、御飯やお味噌汁やデザートが「これ!!御飯!」の方がインパクトが強いんでは、と改めて感じた日でした。

そしてそれが一番ハードルが高いのかもしれません。

企画設計室 小輪瀬

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話題のお店探検ということで、「農家の台所」に行ってきました。

ここは、コース料理を野菜とお肉とお魚の比率に合わせて出してくださるところで、農家への熱い思い、そのコース構成の面白さや新鮮で安全な野菜を食べ放題(・・という言い方はよくないですが)なところが話題のお店。

野菜4:お肉3:お魚3とか野菜6:お肉2:お魚2 のコースや野菜10:お肉0:お魚0 のベジタリアンもばっちりなコースなどが3つの価格帯で提供されています。

どんなお料理が共通で出るのかバラバラのコースをお願いすると・・野菜10がベースでお肉とお魚のお料理が差しかわる様子。

旅館でプリフィクスを導入するのはハードルが高いことが多くて、自分が客としても色々選ばされるのは面倒だったり迷ったり・・。 そう考えると、この比率作戦、意外にわかりやすいなー、そして提供しやすいんじゃないかなーと思いました。農家の台所はこの比率×価格帯も3つあったので、ちょっと複雑な感じもありましたが。

 

よく3千円と4千円と5千円のコースがありますけど、と言われて「どう違うんですか?」と聞くと、お刺身が2種類増える、とか小鉢が一品つくとか言われますが・・・結局よくわからないまま「はぁ・・・じゃぁ真ん中で。」と日本人気質で答えてしまいがち。

 

野菜と肉と魚の比率が違うんです、と言われた方がなんとなく納得かも。新しいプリフィクスのカタチなのかも・・と思いました。

ちなみにお肉の比率が高い方がお値段が高いと思ってましたが、野菜10:0:0が一番高かったです。さすが、農家に熱い!

企画設計室 小輪瀬

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直球勝負

先日、「美食の王様」の著者で「食べる天才」と言われTVなどでも引っ張りだこの来栖けいさんがセレクトした「スウィーツ」を食べる会に行ってきました。

フレンチは大阪がとてもアツいというお話や10月にオープンする自らがオーナーとなるお店「エキュレ」のお話などもお伺いしながら、色々なスウィーツを食べるというちょっと不思議な会でした。

コースの最後にデザートとして出るものなど、普通は食べられないものなどを6種類を用意していただき、来栖さんが「これはこういうところがすごい」という解説つきでいただいた感想は・・・

どれも「直球勝負」。

奇をてらわず、素材とかバランスとかが、「わかっているけどなかなか」という絶妙な塩梅を出しているものばかりということのようで、まさにストレートが来るのがわかっているけど打てないって感じです。

お料理は流行り廃りが早い世界で、「変化球」や「隠しだま」を考えたり・・・何とか勝負に勝とうと頭をひねることばかりですが、やはり直球勝負で客を打ち負かすのが基本なのかも、と感じた夜でした。

 

企画設計室 小輪瀬

 

これは来栖さんがとても推していた大阪のエテルニテのガレット ブルトンヌ。

私はランベリーのクグロフがお気に入りに。当室一お菓子にうるさい山上はル プティ・ポワソンのシュークリームが一番美味しかったそうです。P1010975.JPG