建築コストが上昇傾向にあると言われていながらも、まだまだ工事するならお得と言える時期なのですが、思い切った投資も慎重に構えてしまう状況でもあるように思われます。
そんな中、数少ない旅館1棟新築物件の設計に携わっています。
5月の連休明けに着工したばかりで、完成が来年1月中旬、鉄筋コンクリート造5階建て客室数27室の旅館で、これから躯体が立ち上がってくるのが楽しみな物件です。
まだまだ建物の形が見えてきませんが、今回は設計段階で試みた製品を紹介させていただきます。
1階に大浴場を配置しているのですが、隣地境界から近いため、建築基準法上網入りのガラス窓としなくてはならず、景色が良い場所ではないのですが、クリアな視界をイメージしていました。
また、浴室で使用する網入りガラスは温度差による熱割れや水分の進入によるサビ割れが生じ易いため心配でもありました。
そこで、昔(10年以上前)使ったことのある網の入っていない耐熱ガラスを思い出し検討に掛かりました。
以前の製品はガラスのサイズも小さく、色も若干セピアがかっていて透明感がいまいちと言った感じでしたが、技術はここ10年の間に進歩し、一般ガラス同等の透明感でサイズも最大で3,000×2,400(8、10,12mm厚)mmまで可能になっていました。
一般名称は耐熱強化ガラス(大手ガラスメーカーはどこも製品あり)、その名称どおり耐熱性プラス強度が普通ガラスの6倍、一般強化ガラスの2倍という優れものです。
但し優秀な物にはそれなりの値段が付いてまわり、定価では普通ガラスと網入りガラスとの差は2割増し程度ですが値引率が圧倒的に異なり、見積価格で2~4倍の差が出てきます。
今後の取り扱い量の増加により値下げを期待したい製品ですので、ぜひ皆さんも使ってみてください。
参考URL
旭硝子株式会社 https://www.asahiglassplaza.net/gp-pro/myboka/index.html
(上記画像は旭硝子株式会社のカタログより)
続いてもう一つ、同じ法的基準で防火区画というものがあり、階段室の鉄扉や吹抜けのシャッターなどが区画用の製品ですが、開口が大きくなるとシャッターレール用の柱が必要となったり、脇にくぐり戸が必要になったりしてせっかくの大空間が台無しになったりします。
そこで無粋な付属品を不要にする「耐火スクリーン」(ユニチカ設備技術)という製品をみつけました。
最大幅25m、高さ15mまでの防火区画をシリカクロス製の幕であたかもロールスクリーンのように降ろして区画するという画期的な製品です。
くぐり戸部分は避難口マークの付いた所をカーテンをくぐるように開閉して通行できます。天井内収納スペースもシャッターよりもコンパクトに納まり、軽いので建物への荷重負担も軽減できます。
8年程前に認定されたものですが、設置上の注意があり、ホテル・旅館など不特定多数が利用する避難階段など避難経路上の区画には原則使用できないという欠点があります。
日がまだ浅い製品なので今後の改良に期待するとともに、大空間吹抜けの竪穴区画など避難経路以外の区画には設置できるので検討してみてください。
参考URL
ユニチカ設備技術株式会社 http://www.unitika.co.jp/upec/article/unifireguard.html
建装部 高橋 慎一郎