仕事人コラム

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2009年12月アーカイブ

残しておきたいもの

建装の仕事の関係で各地の旅館に宿泊する機会に、最近特に旅館で気になることは、和室の床の間にテレビや金庫が大威張りで鎮座まし、床の間自体が無駄なスペース或いは物置きスペースとなっていることが多々あり、床の間本来の機能が全く失われていることです。非常に残念に思っております。

 

物の本に依れば、本来和室の床の間は、客人をおもてなしするために季節に合わせた掛け軸や香炉、花入れが置かれ、店主の心配りを示す存在であり、また、床の間は、和室を構成する要素の中で最も伝統的な法則があり、格式が重視され、和室の象徴として大切にされているということであります。

 

今年中部地方の旅館さんの増改築計画をお手伝いすることとなり、全体は民芸調を基調に設計計画を実施ししていただきましたが、和室では特に設計段階で、小さくとも是非床の間を設置して欲しい旨お願いし、本格的ではないにしろ和室にしっかり床の間を設けていただきました。やはり和室に床の間があり、掛け軸を掛け、季節の花を置くと非常に客室として格調高く、凛とした客室となり、館主がお客様をお迎えし、もてなす雰囲気が醸し出され、提案して本当に良かったと思っております。

 

最近の洋風化された和室の生活空間の中では、無駄な空間で省略され、季節を感じることが無くなった床の間を、少なくとも旅館の和室にだけでも設け、和室のしきたり、和室の礼儀作法等が学習できる日本独自の旅館文化と和の伝統文化を少しでも永く残しておきたいと思っております。

 

企画設計室 秋山

 

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すべらない話

先般、あいにくの雨模様の中、打合せで訪問したホテル様でのこと。

エントランスから、それは綺麗な御影石本磨きの床。来客者の傘から滴る雨水が床の上に...。

 

「つるりッ!」

 

目に飛び込んだのは、起こるべくして起きた事態でした。

幸い大事には至らなかった様子でしたが、来客者にとってもホテル様にとっても大変なことです。

 

 

ハートビル法という言葉を耳にしたことがあると思いますが、これは「高齢者、身体障害者等が円滑に利用できる特定建築物の建築の促進に関する法律」のことです。

私たちがお付き合いをさせていただく「ホテル、旅館」も、この対象建築物となります。

(この法律については、また別の機会にふれさせていただくこととして、、)

そのハートビル法においても、最低限のバリアフリー化の基準である「利用円滑化基準」が定められています。(東京都条例)

例えば、廊下、階段、通路、傾斜路等については、「表面は、粗面とし、又は滑りにくい材料で仕上ること。」等々。

 

やはり前出のような経験をなされた施設様も多いのか、床の防滑工事についてのお問合せを受ける機会があります。

これについては、ほこりや、水分の付着の有無によっても大きく異なるものなので、外部からそれらを持ち込まないような工夫(例えば、玄関回りでの計画等)も有効性はあるのですが、やはり完全ではないでしょう。

そこで、床自体への防滑を施すことにより、滑り抵抗係数(C.S.R.)を上げるということになります。

方法はいろいろありますが、代表的には次に挙げる施工方法でしょう。

  エッヂング工法

   専用の機械や工具を用いて、床材表面に凹凸を作る工法で、ブラスト工法、ジェットバーナー工法、カッティング工法などがそれに当たります。

  特殊溶剤工法

特殊な溶剤を用いて、床材表面に7/1000㎜程度の穴を開け、水分の逃げ道を作って防滑効果を生む工法。

効果は、使用ヶ所などによって差異は出ますが、利用者の安全性を確保する意味でも大変重要なことなのかもしれません。

もちろん、上記②で使用する溶剤等の環境への適合性、人体への無害性の必要は言うまでもありません。

 

などなど考えながら、ふたたび雨模様の中、「すべる」ことのないよう打合せに行くのでした。

まるで凍った雪道を恐る恐る歩くような格好で。

 

建装部 鳥巣

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